皆さん、こんにちは。吉島良平(Microsoft MVP for Business Solutions)です。桜は、ほぼ今週で終わりでしょうかね。小さい頃は桜なんて興味を持たなかったのですが、最近はシーズンが終わると名残惜しくて、北上してでも桜を見たいなと思うようになってきました。これって、歳ですかね(苦笑)
さて、今日は珍しく日本からBlogを書いています。先月4月11日(火)に、日本マイクロソフト品川本社のセミナールームにて、「気になる!? あの会社のシステムデザイン“業務システム構築事例”セミナー」を開催しました。当日は、生憎のお天気にも関わらず多くのお客様に来場いただき、盛況となりました。前半に2つの全く異なるタイプの事例セッション、後半に機械学習や、ビジネスソリューションに関するセッションの前後半2部構成でお届けしたので、忘れないうちにここで振り返りをしておきたいと思います。
まずは、最初の事例セッションから、
■旭化成メディカル株式会社 経営統括総部 情報システム部 部長 上野 公志 氏 (プロジェクトマネージャー)
「グローバルIT戦略とTier 2 ERP」
同社では海外拠点のシステム統一をDynamics ERPで実現し、グローバル拠点のデータの見える化や会社間取引の効率化を実現しました。本セッションでは、本社で利用しているSAP R3との連携や、本社要件のとりまとめから各社への展開まで、システム導入を成功に導いたポイントを解説いただきました。
自分がプロジェクトマネージャーを担当したこのプロジェクトは、2年4か月で6法人8か国12サイトを保守フェーズに移管するDynamicsグローバルプロジェクトで、非常に思いれも深く、導入を担当したコンサルタントたちと、上野氏のプレゼンテーションを聞きながら、振り返りをする機会をいただき幸せな時間となりました。
下記のようなアジェンダでプレゼンテーションが行われました。
セッション内容はここでは詳細に記述しませんが、セミナーにご参加いただいた方々は、海外プロジェクトの大変さ、面白さを感じられたのではないでしょうか。
欧米では本社システムとしてSAP/OracleというTier1を、国内外の関連子会社にTier2製品としてDynamics NAVという組み合わせは非常に多く、旭化成メディカル様のケースもそのパターンです。SAPのレポーティングツールであるBWとの連携、会計連結パッケージであるDIVAとの連携など、本社で把握できるデータの精度を大きく向上させることができました。
さすがに本社テンプレートを構築して、2年4か月で6法人8か国12サイトという導入は大変でした。私自身も、旭化成メディカル本社の皆様や海外現地ユーザー様に助けていただきました。欧州は支店が国またぎになり、物流倉庫も別の国に存在したりして設計が大変でした。アジアは固有の商習慣が多く距離は遠くないといえど、それなりに苦労しました。アメリカは時差とネイティブ英語に悩まされたのですが、旭化成メディカルの情報システム部の皆様のご努力により成功裏に収めることができました。本当にありがとうございました。プロジェクトを担当した当社のコンサルタントも海外出張が多く、週末の移動も多々あり、彼らのご家族にご迷惑をかけました。でもやり切ることに意味があります。この場を借りて関係者の皆様に感謝、そしてお詫びをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
続いて2つ目の事例セッションがスタートしました。
■株式会社セキュア 経営管理部 業務購買課 課長 深尾 之博 氏
「ERP/CRM連携による短期導入のポイント」
Office365、Azureユーザーであった同社が、Dynamics ERPとCRMを同時に導入し、約3か月という超短期間でシステム導入を成功に導いた事例についてご紹介いただきました。自社の業務を冷静に見極め、ERPとCRM、それぞれのシステムに持たせる役割を切り分けることでスマートなシステム構築を実現した秘訣とこれからの展望について解説いただきました。(導入事例PV:https://www.youtube.com/watch?v=leTzj4kHFz8)
上記のスライドにおいて、Dynamics 365 と記述があるのは、旧Dynamics CRMです。もともとカメラの事業部で、Azureを活用されており、Office365との相性から、SDFCをやめて、この度Dynamics CRMとDynamics ERPをご選定いただきました。
Dynamics 365(CRM)とDynamics ERPであるNAVを3か月で導入するのは非常に大変だったかと思います。導入に投入できるリソースも限られていたでしょうし、どうして成功裏に収まったのでしょうか?
ERPとCRMがネイティブに連携するというのは一つポイントだと思います。無用なインターフェースの構築が必要ありません。また、ユーザー検収後に、PLデータを1月-3月過去にさかのぼって入力を行ったことで会計ユーザーが自信をつけたというのも成功要因だったのではないかと感じました。
上記のスライドはパッケージの導入が成功する場合の典型例ですばらしい優先順位のつけ方だと感じています。PBCの担当コンサルタントへも、深夜まで頑張ってくれたとおほめの言葉をいただき、非常にうれしく思いました。
Dynamics NAV=In Office365,On Microsoft Azure, With Dynamics CRM, Plus Power BIというキーワードがあるので製品選択としては最高の形になっていますね。同社の谷口経営企画室長がPVでお話されているように今後は機械学習を用いて在庫管理の精度を上げていきたいとのことです。
以上で事例セッションは終了となりました。事例集をご覧いただきたい場合は、こちらからダウンロードをお願いいたします。→PBC導入事例一覧
次はキーノートです。
■日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 ファイナンシャルディレクター 小林正文氏
「ファイナンス・経営企画部門における機械学習の活用例」
マイクロソフトのファイナンス部門での機械学習への取り組みと学びについて解説いただきました。売上予測モデル(時系列)とプライシング(重回帰モデル)のデモを交えながら、どのように実務で活用しているか、そして実際の取り組みからの学びについてご紹介いただきました。
AIに使われるのではなく、AIを使いこなしたいと思われたところから学習を深めたとのことです。実務につなげられていて本当にすごいですよね。
非常に丁寧に「用語の整理」をしてくださいました。
機械学習、Azure Machine Learningの利用方法を基本的なところから解説してくださいました。詳細は参加してくださった方のみということでw
Azure Machine Learning の解説は非常に丁寧で、わかりやすくてよかったと思います。初めて学ぶ方には下記の書籍を私のほうでおすすめさせていただきます。
機械学習を使ってみて気づいたことについて下記のように纏められました。
実は昨年度の秋にForesightという経営層向けのマイクロソフトイベントがあり、小林氏のセッションに参加し、深く感銘を受けました。ファイナンシャルディレクターがAMLを使い倒し、Power BIでデータを見える化している。日本におけるITのリーディングカンパニーのファイナンシャルディレクターはほんとにすごいなと感じました。また、その際のプレゼンで小林氏は下記のように末尾を結んだのです。「必要があれば、私のほうでよろしければどこにでも出向いて説明します」と。。。どれだけ攻めのバックオフィスなのか!以来、いつかセミナーをご一緒させていただきたいと思っておりまして、今回ご登壇のお願いに伺いました。日本の財務会計ユーザーの皆様、このセッションは必見ですよ。今回は年度締めにちょうどスケジュールがバッティングし、多くのCFOの皆様のご参加は難しかったと思うのですが、また企画させていただきます。小林さん、お忙しいところご協力ありがとうございました!
最後に、私がファシリテーションをさせていただいたセッションですが、
■株式会社パシフィックビジネスコンサルティング
戦略事業推進 室長/Microsoft MVP for Business Solutions 吉島 良平
「これからのビジネスソリューションの在り方」
マイクロソフト社のERP(統合基幹業務システム)を中心に、機械学習やBot連携といった新技術を採用した、まったく新しいビジネスソリューションの在り方を、数名のその道のプロフェッショナルとともにデモンストレーション形式でご紹介しました。
最初に、前3つのセッションをリキャップし、3月の中旬から、シアトル→バンコク→日本→アムステルダムとイベントに参加してきたので、いくつかのDynamics365にかかわる最新情報をご参加された方々に共有させていただきました。
Dynamics365の考え方を説明、
CRMとERPをつなぐ、Common Data Service(CDS)やPowerApps、Microsoft Flowなどについて解説しました。
次に、Dynamics NAV2017の基本コンセプトを説明し、
Dynamics ERPと他のマイクロソフト製品の連携を下記の図で表現、
更に、下図を用いて、マイクロソフト製品をご利用いただく対象を想定し、活用メリットを訴求、
続いて下記のアジェンダにそって、デモンストレーション行いました。
戦略事業推進 室長/Microsoft MVP for Business Solutions 吉島 良平氏(弊職)
日本マイクロソフト クラウドソリューションアーキテクト(CSA) 森山京平氏(左)
LINE、Bot Service、HoloLens、Cognitive Serviceにより未来に可能になるだろうビジネスソリューション像を共有しました。
Microsoft CEO SATYA NADELLA 氏の言葉である「Every company is a software company」というキーワードを用い、共にソフトウェアの会社に変革していきましょうと結び本セッションは終了となりました。
プレゼンテーションのコンテンツは、こちらからスライドシェアにPVと合わせて確認できるようにしておりますので、お時間があれば是非ご覧いただければと思います。→「これからのビジネスソリューションの在り方」
最後に日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナービジネス推進統括本部 統括本部長 浅野 智氏より、マイクロソフトの多岐にわたる製品や戦略、あらゆるデータをもつ強み、そしてAIやIoTなどのトレンドについて解説、最後に熱いクロージングのご挨拶をいただき本セミナーは終了となりました。
実は、会場には、Microsoft ProjectのMVP、問題解決のプロフェッショナルである齋藤氏 、弊職のプレゼンにも参加してくれたData Platform部門のMVPである清水氏、CDataの桑島氏、 Japan Regional Director でり、日本のUX(ユーザーエキスペリエンス)の第一人者の一人である東氏、日本マイクロソフトからもセキュリティー、Azure、Office365、Power BIのプロが参加してセミナーを盛り上げてくれました。ご協力をいただいた皆様、本当にありがとうございました。
生憎のお天気にも関わらず、多くの方にご参加いただき、全く異なるパターンの導入事例のご紹介や、世界でも見たことのない、新しくて面白いコンテンツを揃えた、未来を見据えたDynamicsなセミナーを開催することができました。四半期に1度くらいのペースで継続的に開催したいと思っていますので是非期待しておいてくださいね。また皆様と会場でお会いできることを楽しみにしております。