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こんばんは。吉島良平(Microsoft MVP For Business Solutions)です。夏も終わり日本は涼しくなってきました。皆さま、お風邪などめされていませんか?
さて、本日9月25日から28日までアメリカアリゾナ州のフェニックスで開催されているDirections USA 2016に参加しています。(イベントサイト:http://navdirections.com/ )Sheraton Grand at Wild Horse Pass が会場になっています。同時期にアトランタでMicroosft Igniteという技術者向けの大規模イベントが開催されており、こちら側はいわゆる裏番組的な扱いです。またBlog内の写真もLiveで撮影したものなので綺麗とはいえませんが、是非、最後までお付き合いください!
ところで、アリゾナ州っていうと何を思い浮かべますか?世界遺産や国立公園が結構ありますよね。フェニックスには過去数度イベントできたことがあるので、今回はでかけるつもりはないのですが、「グランドキャニオン」や、神の聖地と言われる「セドナ」が有名です。また、キャンプシーズンには多くの野球選手が集まったり、冬も暖かい気候のためゴルフ好きが集い、米国人にとってもリゾート地として、大変人気のあるエリアなので是非機会があれば足を運んでみてください。(旅行情報サイト http://wag-arizona-tour.com/ )
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Directions USA 2016には、世界各国から700名以上のDynamics NAVのスペシャリストが集まり、マイクロソフト社を筆頭に世界57社からのスポンサーシップを得、メジャーパートナーの代表メンバーによる運営で、毎年米国にて開催されています。今年は161のセッションやワークショップなどが企画されており、今年の傾向として、昨年度倍に増員されたデンマークのマイクロソフト開発チームから新しく参加されたスタッフによるセッションが多く予定されています。
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もはやマイクロソフト社のスポンサーなしに成立しないイベントですね↓
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さて、本イベントの目玉は、Dynamics365(Project Madeira)とDynamics NAV2017なのですが、本日のオープニングキーノートを少し振り返ってみたいと思っています。
最初に、Paul White氏(Sales & Marketing General Manager)から、冒頭参加パートナーにお礼があり、その後2019年へのチャレンジについて説明をしました。ここでいう2019年への挑戦というのは、2014年にたてた「2015年~2019年の5年間で、新たな10万社のお客様を獲得する」という目標に対して、どのような施策でそれを実現していくかというものです。つまり、現在12万社超のグローバル導入実績と言われているので、残り8万社弱を2019年内にどのように獲得していくかという戦略立案です。2014年に私が考えていた方向性とほぼ同じ方向に戦略の舵をきっていくとのことなので、当時の自分のよみはそれなりに当たっていたと考えています。
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まず、下記のスライド(USマーケット用)を用い、設置型だけでなくSaaSのマーケットをとりにいくために、Dynamics365のリリースがあり、これらの戦略を遂行するための製品拡張、販売促進が施されたとの説明があり、それは今後も継続していくと話がありました。
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Microsoft Dynamics 365-Enterprise Editionとは、Dynamics CRMとDynamics AXのコンビネーションになるようですね。*Project Medeiraとは、Microsoft Dynamics365-Business Editionと記載がありますが、実はこれはDynamics CRMとDynamics NAVの簡易版の組み合わせです。(Office365と合わせて活用すると生産性や業務プロセスの変革に役立つはずです。)これまで通りDynamics GP、Dynamics SL、Dynamics NAVは拡張を行い市場に投入を継続していくとのことです。
*Project Medeira https://madeira.microsoft.com/en-us/ で確認すると「処理を実行できませんでした。お客様の国または地域はまだサポートされていません。近いうちに国と地域をさらに追加する予定ですので、また後日ご確認ください。」と出てきました。もう少し待ってみましょう。裏技がありますが、ここではあえて触れないでおきます(笑)
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Paulからは、上記のスライドに記載がある4つの優先順位項目について説明がされました。「売上原価」「ライフタイムバリュー」「販売チャネル開発」「業種別ソリューションベンダーのメリット」という切り口で話を展開していきました。
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新たなマーケティングと*販売手法について解説し、
(*上図Sales Funnelとは、見込み客を絞り込んで受注に至る過程(またはその手法)のことをいうマーケティング用語)
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顧客の投資を平準化し、パートナーの累積収益をあげていくことが重要であり
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チャネル開発としては、Office365ユーザー、ホスティングサービスプロバイダー、会計事務所などのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)への販路拡販を促し、そこに既存のDynamics ERPパートナーやメジャープレイヤーであるISV(業種別ソリューションプロバイダー)が価値を生み出せるはず、
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業種別ソリューションプロバイダーへのメリットとして、AppSource(アプリの販売メソッド)、Extension(カスタマイズ分の切り出し)、共通データモデル、そして2日目にアナウンスされたVisual Situdio Codeでの開発などを取り上げました。
PaulWhite氏に紹介されたのは、我らがのっぽ王子こと、Marko Perisic氏(SMB ERP GM)ここからは恒例のキーパーソンをステージに招きデモる、いわゆるマネキデモ。
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まず最初に下記のスライドが紹介され、どのような改良がおこなわれたのか?概要説明がありました。

まず最初にOffice365との連携シナリオ
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メールの送信元を得意先マスタが判別し、なんとOutLookの右側スペースにその顧客との取引情報が確認できるようになります。
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なんと、ここから直接見積もりが直接作れるようになっています!

そのままPDFにしてメールに添付という離れ業へ。この場合の見積もりの承認はどうなっているか?はここでは忘れておきましょうww(通常は承認プロセスに回してから出力にもっていきます)でも、便利ですよねぇ。

添付を開くと上記のような見積書が確認できます。
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見積番号と連携して、Outlookからその見積を簡単に表示することができます。受注伝票作成に、請求書作成のプロセスも併せて非常にオペレーションが簡略化されました。Dynamicsのキーワードは、生産性(Productivity)+業務プロセス(Business Process)、これらのキーワードが似合う製品に改良が継続されていることを確認しました。
続いてPower BIの紹介

マイクロソフトのレポーティングツールであるPower BIがDynamics NAV2017に埋め込めるようになりました。Dynamics AXと同様の対応となりました。営業担当者などの非ERPユーザーはPowr BIを活用することが想定されますが、伝票入力を行うERPユーザーは日々のオペレーションに集中できるのでERP側で情報が確認できるというのは非常に効率がいいですね。
久しぶりに勘定科目側にも機能拡張があります。最初にAccount Categoryを科目ごとに設定します。
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これにより同カテゴリー内における情報分割などが容易になります。例として、下記のCash(小口現金)科目をCheque(チェック)などと分割する例が説明されました。
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標準で出力される帳票にもキャッシュフロー計算書や、利益剰余金計算書などが追加されより便利になりました。(日本語のフォーマットに調整が必要だろうけど)
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品目リストも通常のリスト形式から、下記のような画像入りのリスト形式の画面が追加されました。
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また、品目属性が追加され、品目画面の右下領域に情報が付与されました。
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続いてOCR機能を用いた仕入請求書作成についてデモンストレーションがありました。
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下記のように仕入請求書(Purchase Invoice)が作成されています。
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続いてAssistedSetupという新機能の説明がありました。ここではDynamics CRMとの連携設定が以前のようにパラメーター設定方式ではなく、ウィザード形式でできるようになっていることを確認しました。

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この仕様だと誰にでも簡単に設定できそうです。CRM側でもERPの伝票や確定債権などの情報が、ERP側でもCRMの引き合情報などが当然確認でき、製品連携を実行することで情報管理の効率UPにつながりますね。
さて、ここからはCortana Intelligenceを用いた真新しいデモンストレーションが行われました。NAV2017では、AML(Azure Machine Learning/ 機械学習)連携機能が装備されていました。(AXと同レベル)当社内では新バージョンにおいて販売予測や製造予測に対してAMLが実行できると調査済みでしたが、ここで見れたのは「キャッシュフローの推移と予測から資金を借り入れたほうがいい」と提案してくるもので、財務担当者にとっては非常に有益な機能だと感じました。
まず下記のようにウィザードで設定を行います。
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ここのオレンジ色がCortanaIntelligenceが提案してくれたものです。デモンストレーション担当が会計のバックグラウンドが無いのか、データは不可思議なものでしたがイメージは把握することができました。
続いて、同様に売上予測から在庫がショートするので発注を提案するようなCortanaIntelligenceを用いたデモンストレーションが行われました。

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仕入請求(Purchase Invoice)をつくるというものでしたが、ここでつくるべきは通常発注伝票(Purchase Order)ですね。利用シーンやイメージは把握できたのでお客様にご提案できるようにPracticeを積んでいけばいかなくてはなりませんね。
初日オープニングキーノートの最終デモンストレーションは*Power AppsとMicrosoft Flowを用いたものでした。
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*Power Appsとは、だれでもがノンプログラミングで、業務アプリケーションを作れるツールを提供するサービスです。スマートフォンあるいはタブレット用ネイティブなアプリが作成可能で、データの表示・追加・更新や、ワークフローを組み込んだアプリケーションが簡単に構築できます。Power Appsに、ご興味がある方は是非試してみてください。https://powerapps.microsoft.com/ja-jp/
下記の画面はモバイル端末に在庫情報をリアルタイムで表示させたものです。
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Dynamics AXとDynamics NAVという異なるソースから在庫データをPowerAppsで作成した在庫リストに表示させるという結果だけのデモンストレーションが行われました。
デモの担当者はこれだけのことがたった3-4時間でできることに大きな意味があると説明しました。
Marko Perisic氏からバトンを返されたPaulWhite氏は、このイベントにおいてDynamics365とは何か?NAV2017にはどのような拡張があるのか?正しくと把握してほしいと述べました。
Dynamics365というクラウド版だけでなく、従来通りNAV、GP、SLの設置型製品の継続拡張を約束することを宣言しました。
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最後にWhite氏は、本日私が説明した優先的に遂行していく戦略を信じてほしい。そして、皆さまはこれまで通りNAVのビジネスを盛り上げ、新たなクラウドビジネスに挑戦し、是非このDynamics365を学習してほしい。昨年度一年間ありがとう。今年も皆さまのご協力をよろしくお願いしますと述べ、初日のオープニングキーノートは終了となりました。
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初日でProject Madeiraと呼ばれていたものが、Dynamics 365 for Financialという呼び名に変わったこと。Financialとつけているが、SCMやMarketing、そしてJob(プロジェクト管理)機能も含まれていることを理解しました。少し肩透かしをくらったのは、通年通り本イベントの初日が新製品リリース日とならなかったことです。
2日目以降も真新しい内容があれば随時更新、誤記があれば訂正していきます。