Microsoft Dynamics AX (Code Name = AX7)

24 2月

こんにちは。吉島良平(Ryohei Yoshijima) @シアトルです。皆さまお元気でしょうか。こちらは日本より少し冷えるようです。しかし、海外出張にくると、いつも日本では当たり前のことが、当たり前でなくて、心が落ち着かないことがありますね。寒いから入浴剤をもってきたときに限って、湯船がない。蛇口でお湯加減を調整しようとしても、不可思議な温度に自動調整される。和食レストランにいって、同じタイミングで出してねと注文していても、お味噌汁だけ先に出てくるなど皆さまも同じような経験があるのではないでしょうか。海外生活は、なかなかうまくいきませんね。もちろん、グローバルなDynamics活動は全く、待ってくれないのでポジティブに頑張ります!

さて、今日2月23日は、米国シアトルで開催されているMicrosoft Dynamics Tech Conference の初日でした。全世界から約1500名ほどDAX(AXを使ってお仕事をする人をこう呼んでいます。)が参加していると聞きました。このイベントは世界各国のDynamics AXのパートナーとカスタマーが参加し、新製品や製品拡張版リリースの機能やマーケット動向を学ぶマイクロソフト主催のイベントです。初日のOpeningKeyNoteでは、「昨日22日に新製品Dynamics AXがリリース済みです(販売開始時期のアナウンスはなし)」という発表があり、通常は「今この段階から出荷開始です!」というアナウンスで会場が盛り上がるため、コンベンションセンターでもオーディエンスから「あれれ?」という声が聞こえてきました。パートナーソースにも最新版が見当たらないことから、3月くらいからの出荷開始になるのかもしれませんね。今日はTech Conferenceの様子をここシアトルから共有させていただきますね!

Opening1
オープニング風景1

Opening2
オープニング風景2

新製品名称は、「Microsoft Dynamics AX」となり、直近までの「Dynamics AX 2012 R3」とことなり、バージョン名称が製品名からはずれて、シンプルになりました。ちなみに、この「Microsoft Dynamics AX」のバージョン名は「AX7」として存在しています。この後は、「Microsoft Dynamics AX」は変わらず、バージョン名が「AX8」「AX9」と上がっていくのだと思います。

オープニングから2コマは、2名のGMのステージでした。まず最初は、Dynamicsの世界において、私が一番尊敬しているDaniel Brown氏 (通称/Dan)のステージ。彼は4年半ほど、Dynamics NAV のR&D部門のGMを経て、Dynamics AX R&Dチーム、アプリケーション側のGMに着任されてもう4年ほどたっています。ものすごい頭脳と情熱をもつ史上最高のDynamics戦士だといつも感心しています。

Daniel Brown, GM, Application R&D, Microsoft Dynamics AX
Daniel Brown, GM, Application R&D, Microsoft Dynamics AX

さて、Dan氏からはMicrosoftが全社で取り組むBusiness Transformationの話から始まり、DynamicsAXがいよいよエンタープライズ向けビジネスソリューションとして戦える新世代のERP/New Eraになったことが強調されました。そしてこのリリースは過去に取り組んだことのないくらい難解且つ厄介なもので、市場に出す前にモデルユーザーになり、多くの改善依頼を出してくれたお客様や、率先して学習や導入に取り組んだパートナー、そして彼の同僚に感謝の言葉を述べていました。

Daniel Brown, GM, Application R&D, Microsoft Dynamics AX
Daniel Brown, GM, Application R&D, Microsoft Dynamics AX

 

新しいDynamicsAXの特長として、Intelligent User Interface(使い勝手のいい画面)、すでに本稼働になっているお客様の事例を引き合いに出し、Proven Business Logic(証明されたビジネスロジック)、Lifecycle Service(商品開発から廃棄にまでのプロダクト/製品ライフサイクル)の拡充、Microsoftの Cloud Platform (クラウド環境)やデバイスを用いどこからでも、どのデバイスでも利用できる事をあげました。

 

特にマイクロソフトが経験に経験を重ねてきたビジネスプロセスとして、HTML5クライアントとしてOptimizeされたUX、Power BIやExcelでの書き込み&取り込み、工場のショップフロアにおけるタブレットやタッチパネル利用の利便性、ユーザーの利便性を追求しつくした画面遷移&機能追加などが市場に受け入れられるだろうと述べました。ビジネスプロセスの再構築と題して、なるべく個人が自由自在に利便性に富んだ画面およびその変遷をつくることができるようになることや、30以上の事前に設計されたワークスペース、なるべく少ないクリック数で目的が達成できるようにとの意図があるようでした。オペレーションの順番を視覚化したり、受注から製造オーダーを瞬時に作成したり、経理が記帳する会社を仕訳帳から選べたりなど、利便性を追求した製品になったと発信していました。

ワークスペース
ワークスペース

画面のTOPにフィルター機能も用意され、Windows10の検索機能のように機能の呼び出しが可能になりましたね。

ワークスペース2
ワークスペース2>機能メニュー一覧も、以前のバージョンよりわかり易く効果的に表示可能

ビジネスプロセスの見える化という切り口では、KPIのモニタリング、Power BI、ドリルダウン機能、20以上の事前定義された財務レポート、マイクロソフトの他の製品との連携なども併せて説明していました。リリース前にMVPはマイクロソフト製品チームのサポートをするのですが、前バージョンとは比較にならないほど使い勝手が上がっており、マイクロソフトの訴求する「柔軟性」「操作性」「拡張性」のうち、「操作性」と「柔軟性」の大きな拡張を私も体感しました。本当にすごい製品に生まれ変わっちゃいましたね。ほんこれ。やばい。

デモンストレーションも自ら実機をさわり、ワークスペースからの機能・伝票検索、受注伝票の起票、一般仕訳帳から直接会社を選択し(国内外の複数拠点をみている経理担当者には非常に便利な機能)、起票し記帳。仕訳帳からエクセル展開、それを仕訳帳にもどしEXCELでの入力データを伝票化。Power BIやモバイル端末連携などをチャレンジしオーディエンスを魅了しました。個人的には、EXCELにDynamicsAXの仕訳伝票フォームを展開し、EXCEL入力データを、DynamicsAXに返すというデモが非常に心に残り、経理ユーザーにとっては、「まってましたっ!」という機能だと感じました。

Excel入力アップロード
Excel入力した仕訳データをDynamicsAXにアップロードするデモンストレーション

 

また、グローバリゼーション、ローカライゼーションの容易さをアピールし、36か国のバージョンのうち、16を近々リリース、秋に残りの20か国をリリースすると発表し、遅れる国の理由として、ロシアでは、固定資産の対応に、インドでは税法の複雑さで時間がかかるためなどと説明しました。

グローバリゼーション
グローバリゼーション

 

国別リリースプラン
国別リリースプラン

 

最後に、ビジネスプロセスを、「アジャイル」「ライフサイクルの管理」「パートナーから供給されるソリューション」「品質」「事例」で解説し、「革新的なビジネスプロセス」「今後のビジネスプロセスへの投資」と徹底的にビジネスプロセスの改善に挑むという覚悟を述べ、是非DynamicsAXを使い、企業競争力をあげてほしいと結論づけました。

Business Process Agility
Business Process Agility

 

Business Process LifeCycle
Business Process LifeCycle

 

Business Process Solutions from Partners
Business Process Solutions from Partners

 

Business Process Quality
Business Process Quality

 

Business Process Live!
Business Process Live!

 

Change to Business Process
Change to Business Process

Future Business Process Investments
Future Business Process Investments

 

続いて登壇されたのは、DynamicsAXのプラットフォーム側R&D のGMであるSri Srinivasan氏です。AzureとApplication Life Cycleに力が入っているように感じました。

Siri-san

Sri
Sri Srinivasan, GM Dynamics AX Platform R&D

 

まず最初にSri Srinivasan氏から新製品のリリース伴い各関係者に感謝の意が述べられました。

Dynamics AX

Dynamics AXのプラットフォーム側の強みとして上記が取り上げれました。ウェブベースのHTML5対応になったDynamicsAXのワークスペースという考え方を説明しました。

また下記のようにデータ連携やデータの保持に関しても、自信を持っていることが改めて解説されました。

Dynamics AX
Data Governanceについて

 

Workflow
Workflowの定義方法

 

Task Guide Experienceと題して、タスクレコーダーでの録画機能の拡張に関する説明では、受注伝票の入力を録画して、それを動画マニュアルにして画面に張り付けておくというデモンストレーションが行われ、カンファレンス会場はむちゃ盛り上がりました。しかもそのタスクレコーダーを実行すると、入力をする順番に入力項目を指示するカーソルが画面に出てきて、ユーザーを誘導してくれるのです。これ、Dynamics CRMにもDynamics NAVにも欲しい! これがあるとユーザートレーニングも効率化されるし、ユーザーも繰り返し学習することができる。引継ぎも楽だし。それからISV(業種ソリューション)をもつ海外ベンダーからトレーニングをVARS(導入ベンダー)が受ける際にも圧倒的な効果が期待できますね。

Cloud
受注伝票入力画面とタスクレコーダーの表示

 

また、マイクロソフトとしてのクラウドの経験値、他社製品との差別化要因を解説していきました。

Cloud Explained
Licensing、ALM、MSマネージド、Azureの拡張性、アップグレードの容易性などを解説

 

ERPとしてだけでなく、Cortana & Power BI 連携や、管理統合データ連携の簡易パッケージが用意されていることが他社には負けない理由であると解説しました。

ゆくゆくはすべてのソリューションがサービス化されてユーザーの方が好きな業種別のソリューションを簡単に購入できて、設定できて、利用できるといいですよね。

Differenciate
なぜDynamics AXなのか?他社製品との差別化について

 

そして、ついに、Dynamics Marketing, Dyanamic CRM, Dynamics NAVに続き、

Dynamics AXでもPower BIのコンテントパックがリリースされました。これはほんとに便利。いままで数百万とかかけて導入していたBIとはいったい何だったのだろうか?と反省しました。(ごめんなさい)

PowerBI
PowerBI

 

最後に、Dnamics AXのロードマップが発表され、クラウド版からリリース、今年の秋ころにオンプレミス版がリリースされる予定であるという説明がありました。

RoadMap
RoadMap

 

新世代のエンタープライズ企業向けERPの本命がいよいよ日本にも登場してきますね。

Office365やAzureやPower BIなどを絡めてお客様のビジネスプロセスの変革に挑戦していこうと改めて心に誓うオープニングキーノートでした。Dan & Sri。ありがとう。

この後、財務会計、販売購買&物流、生産管理に関するセッションに参加しました。製造フォーキャストもAzureのMachine Learning(機械学習)を活用し作成することもできるようになり、IoTの世界観もDynamicsはエントリーポイントとして担っていくことになります。また、英語版ではCortanaの自動音声アシスタント機能を用い自動で伝票入力ができるようになりました。これもはやく日本語でできるようになるといいですね。思っていた以上に機能拡張/調整がありましたので、随時共有していきます。

次回は日本から、Dynamicsの最新情報を共有させていただきますね!