日本の皆様、おはようございます!Dynamics特派員の室長こと吉島良平(Microsoft MVP for Business Solutions)です。昨日のDynamicsPact CEO Summitに関する投稿同様、アイルランドの首都ダブリンからこのBlogを投稿しています。今はサマータイムなので、日本と8時間の時差があります。
学生時代にロンドンに住んでいるときに学んだのですが、アイルランド共和国はイングランドとウェールズの沖合にあるアイルランド島の大部分を占めます。今は32の県に分かれていますが、古くは4つの州に分かれていました。
その1つの州であるレンスター地方にあるアイルランドの首都ダブリンは、オスカー・ワイルドなど著名な作家の生誕地で、下記の写真からもわかるようにギネスビールの発祥地でもあります。ビール好きにはたまらないかもしれませんね。
昨日のBlogでもご紹介しましたが、9 世紀のケルズの書をはじめとする挿絵のある手写本も、ダブリンのトリニティカレッジの図書館に展示されています。実は、アイルランドはその緑豊かな自然環境により「エメラルドの島」とも呼ばれます。また、中世に造られたケアー城など数多くの城があり、自然が大好きなアウトドア派の方には是非お勧めできる国です。是非一度機会をつくって遊びに来ていただければとおもいます。
さてさて、それでは、本日4月24日-26日で開催されているSummit EMEA 2018の初日のオープニング&キーノートを振り返っていきたいと思います。Summit EMEAとはDynamics User Groupが企画・運営を実行する有償のイベントです。欧米のそれぞの国で開催されることもあれば、今回のように、欧州・中東・アフリカを巻き込んで開催される場合もあります。本イベントでは、約1500名が多くの国々からユーザー事例、製品/サービス情報、他の参加者たちとのネットワーキングを目的にダブリンのコンベンションセンターに集まってきています。合計213セッション。
今回驚いたのは、このイベントの告知が始まったときは、NAV(Dynamics365BC)もセッションがあるはずでしたが、実際はAXUG、CRMUG、PUG(Power BI User Group)の3本立てになっていたことです。また、去年はAX、NAV、CRM、PBI(Power BI)と会場内が分かれていたのですが、今年はCRM+AX、PUGと2つに分かれていることです。NAVのユーザーや取り扱いパートナーでありながら、この事実を知らず、来場された方々も結構いらしていて残念がっていました。一体何があったのか?
まずは、オープニングです。今回の会場は座席の前に机を立てられるようになっていて、またその机から電源もとれるようになっていて、非常に使いやすい大会場でした。
まずは、昨年度同様、Tony氏(CRM UG代表)とHeather氏(AX UG代表)によるご挨拶から、
付加価値の高いネットワーキングと知識の共有を通して、ビジネスを成長させるために、個人個人や企業が、AX・CRM・Dynamics365を共に学びあう機会を創出することが存在意義であると説明しました。
あまり世にでてこない面白い情報共有、
続いて、スポンサーへのお礼。イベント開催へご協力いただき本当にありがとうございます!
登壇者やパネリストの方々がいないと成立しないのがイベントですよね。こちらもありがとうございます。
余談ですが、欧州のMVPの皆さんはMedicsというドクターにみたてられて白衣を着せられてしまうとか。(気を付けようw)
ユーザーグループへ参加する企業が増加していることを報告し、AXUG/CRMUGへの参加メリットをしっかりと享受するため、ウェブサイトの利用を促しました。(そういえば、去年もあったな、この絵の説明)
続いて、Melissa Erickson氏によるUGのウェブサイトにおけるUI改良、拡張ポイントなどの説明がありました。
お二人からは、是非コミュニティーに貢献してほしいとお願いがありました。Maximize Your Membership という記述にあるように、ユーザー会員の方の質問に対して、参加者がしっかりと回答をすることで、参加者のAward Levelがあがる仕組みになっています。下図のようにCommunity Recognitionについて解説がありました。
自宅に帰ってから実施してほしいこととして下記を説明しました。
同じタイミングでドイツにて開催されているハノーバーメッセは日本人が結構いるようですが、こちらは私だけという事ですが、負けないように頑張らないと!
この後、来年はどこで開催したいか?という話で、アムステルダム、ロンドン、バルセロナ、ニースという候補が提示され、このイベントの最中にアンケートに答えてくださいと説明がありました。これはすごい。なかなかできない事なので感心してしまいました。
さて、やっと、キーノートが始まるようです。昨日もDynamicsPactに来てくれたMike Ehrenberg氏による、”Accelerating Digital Transformation with Microsoft Business Applications”というタイトルでいよいよスタート。
おっと、今回もまた出てきた”Digital Feedback Roop(DFP)”という表現。Customer、People、Productsの中心にDataがあるこのスライド、ここ数回のDynamicsイベントでは必ずといっていいほど出てきています。Global TransformationにはこのDFPが必ず必要になるという理論。
そして、Microsoft Dynamics 365のそれぞれのモジュールを、DFPにプロットしてみると下記のようなイメージになる。
MarketingやSalesの機能群の中から、Connected Field Serviceに関するデモンストレーションを解説
障害理由を想定、自動でリソースを割り当て、モバイルアプリを活用したIoTに関するものでした。
ERPよりCRMのほうが、IoTと圧倒的に合わせやすいですね。エンジニアのリソースの割り当てもERPのサービスモジュールに単にパラメータで設定するだけでは、現場では実は効率があまりあがらない。やっぱりここはAIというか、気の利いたサービスがほしいところです。
やっぱりきた。フィールドサービスのエンジニアが訪問するスケジュールに関しても、AIがサポート。
効率的なリソーススケジュール策定、顧客へのレスポンスタイムの短期化、顧客満足度の向上が可能になると訴求しました。次はPeopleの領域ですね。
Lydia Williams氏(MVP Summit でもかわいいと人気のUKの女性でしたw)によるD365 for Talentの説明。
採用準備、募集、応募者経歴確認(LinkedIn連携)、面接スケジュール、質問リスト、面接評価、モバイルデバイスを活用した採用活動のフィードバック、採用に関する文章テンプレート/Wordの活用、入社される方へのウェルカムメッセージ、プリアクティビティー(入社後の仕事)リスト、マネージャーリストなどのタレントマネージメントにかかわる一連のプロセスが、このDynamics365 for Talentには含まれています。14のプロセスがあるようです。(3日目に個別のセッションに参加済み)
Wordの活用について、
入社される方は自分に割り当てられているタスク、オリエンテーションの内容がわかるので、いろいろな準備が事前にできます。(例として、初日にPCがないとか、メールが見れないとかそういう事は当然なくなります的な)
入社前に誰に合うべきなのか?自分がやるべきタスクリストは何か?などを確認できます。
自分の上司や、グループにもどのようなメンバーがいるのかわかるので、これは便利ですね。うちも人事で使えばいいのにw
と思いながらも、気になるのは価格8USD/1名/月ですから、社員3000名だと、月額24000USDですか。単にポータルをみるだけの従業員もいるので、これは高いわw。D365のサービスパッケージ価格が必要ですね。その他、話題になりそうなのは、GDPR(データ保護法)でしょうか。
採用活動は、テンプレート化できます。LinkedInとも連携するので、テンプレートを活用して、類似スキルをもっている方を採用するには非常に便利だと感じました。大きな組織になると、採用だけでなくて、社内プロジェクトのリソース共有に使えそうですね。
次は、Kevin Horlock氏によるDynamics365 Financial and Operationsのデモンストレーションです。KPIを確認できるダッシュボード、簡単に作成できるワークオーダー、IoTの活用、フィールドエンジニアへの作業指示、事前分析の調査にエンジニアを派遣せず、なるべく1回の訪問で作業を完成させる方法の実装、サービスオーダーや他のオーダーで予約した部品を消費させない仕組みなどについて解説がされました。
ダッシュボードが直感的でわかりやすいですね。ERPとCRM側のフィールドサービスとの連携。
実はD365FO(AX)、D365BC(NAV)にもサービスモジュールはあるのですが、最近の傾向を考慮すると、今後はCRMのフィールドサービスモジュールを使ってERP側と連携させるのが主流になっていきそうです。CRM側では在庫管理をしていないので、在庫はERP管理です。よってERP/CRMの情報を表示、双方のデータに入力できるものを構築して、フィールドサービスエンジニアが入力できるモバイルアプリが必要になってきますね。だからPowerAppsなのですね。またERP側にデータを作る必要があるので、CRMもしくはPower Apps→ERPの伝票連携も必要になってきますね。
実はまだまだ連携がうまくいっていないのですが、デモンストレーション上は上手く見せていますねw
”Office 365+Dynamics365”、”Business Application Platform”、”Data and Intelligence(AI)”、”Azure”でマイクロソフトはクライアントのデジタルトランスフォーメーションを実現すると説明しました。また、Adobeとのパートナーシップについても触れ、Marketing Automationについてもポイントをいくつか述べました。
Office365、Dynamics365、Azure IoT、Bing、LinkedInというビジネス上の5つのコアデータをもっているのが最大のマイクロソフトの強みだと私室長は考えています。
恒例になってきた感がありますが、Power Suite (Power BI、Power Apps、Microsoft Flow)とアプリ用のCDS-Tと分析用CDS-Aの解説です。最近くどいくらいにここ押しですね。どうやらSAPやSalesForceとのCDS連携もあるようです。今後はここが肝になってきますね。
下記のスライドはオープニングキーノートではなく、別のセッションで公開されたものですが、ここにいれておくと、皆さんがわかり易いはずなので。
40-45分間ほどでPowerAppsでつくったモバイルアプリの解説。アップストアで作ったアプリを各自がダウンロードできる。
運送業者用ですね。
バーコードもQRコードも簡単に読める。
荷物を届けたらお客様に署名をもらう。
構築の方法を簡単に解説、
こちらも引き続き構築の方法
CRM、AXのDynamics365へのアップグレードパスについて解説、
リリースノートをみてくださいね。と。
7月にシアトルのコンベンションセンターで開催されるBusiness Application Summit のお知らせ。
Dynamics365をフル活用して、ビジネスを大きく成長させましょうと綴り、
最後に、イベントアプリの活用、セッションフィードバック記入、プロダクト別のキーノートへの参加に関するお願い、D365(CRM/AX)Medic(MVP)の活用、ここで新しいことを学んで、ネットワーキングして、しっかりと楽しむ3日間にしてくださいとオープニングは締めくくられました。
1500名いるので、大ホールはほぼ満席でした。
—-2日目—-
2日目の午後からは、Financial and Operationの責任者であるMuhammad Alam氏がDynamics365FOとRetailというタイトルで最近のマーケットや製品/サービスの拡張について解説を行いました。
マイクロソフトに入社してから13年になりますが、最初はAxapta3.0というバージョンををメキシコの生産工場、それからAXとCRMをMCSでコンサルティングビジネスに従事していました。前職ではSAPの導入などを手掛けていましたとまずは自己紹介をされました。
デジタルトランスフォーメーションには、Office365、Dynamics365、Azureが必要だという話から、昨日も出てきたデジタルフィードバックループに照らし合わせて、Finance and OperationsとRetailの領域の話が始まりました。
200ページ以上にわたるRelease Notesを作りしましたので、もしまだご覧になられていない方があれば是非目を通してくださいとし、続いて下記のスライドを用いて、拡張という観点からExtensions、そしてD365FOに埋め込んだPowerApps、そしてパフォーマンス&モニタニング、フィールドサービスなどとのDynamics365内の連携、インテリジェントな洞察(調整などのアドバイス/便利機能)、顧客への支払機能の拡張、流通小売り、倉庫管理、グローバリゼーション(インド商習慣、GDPR)などのポイントを拡張、改良したと解説しました。
下記の領域における改善ポイントが発表されました。
ここからは、Shelly Bakke 氏によるデモンストレーションがスタート
まずは、PowerAppsでつくったモバイルアプリを開き
そして、Sales Orderを開き、デザインモードへ、なんと、そこからPowerAppsを挿入するという機能が!これには驚きました。
これはやばいですねぇ。便利な機能が沢山作れそうです。いくつかの便利なシナリオを考えて日本の皆様にお披露目したいと思います。
次は最適化をアドバイスしてくれる機能です。ロケーションなどの情報を確認し、在庫の月次クローズの処理時間のスピードをあげるためのアドバイスをしてくれる機能の紹介をしました。気が利いてるぅ!
過去の情報から支払いを受けられる可能性の低いインボイスを抽出
10%の値引きを入れると、30日以上回収できない確率が69%と初回想定されたのが、なんと4%に。日本で使う事あるのだろうかと思いながら、面白いとは感じましたw
インテリジェントと洞察、生産性と利便性、適用性について秋は機能拡張していくことが発表されました。ベースには、パフォーマンス、自動化、保守、連携という観点があるようです。
パブセク領域に改良がはいるのですね。tyler社がサポートするんだ。
IFRS15(収益認識基準の変更)をターゲットに改良されるのですね。おーarmanino社がサポートか。
SCM領域の機能拡張。ここは順当にBlue Horseshoeが担当するんですね。マイクロソフトはここが開発していた倉庫モジュールの機能を買収してD365FOの中に取り込んだ経緯があるから妥当な判断だと思います。
2018年10月にマイクロソフトはAX2009、AX2012RTM、AX2012R2のメインストリームのサポート終了をアナウンスしています。AX2009に関しては2018年5月にデータ移行とPublic Preview、AX2012に関しては2018年4月にデータアップグレードとPublic Previewが予定されています。ってもう今月ですね。
これからは日本でもAXのアップグレードの仕事が多く出てきそうですね。
後半は、Heather氏がモデレータとなり、JBS Group、Lochaber社、XAL社からユーザーのゲストを招き、Marketing DirectorのKees氏とMuhammad氏が参加してパネルディスカッションが行われました。
ユーザーへ導入期間、意思決定者はだれだったか、なぜクラウドだったのか?なぜSAPではなくD365FOを選択したのか?などのディスカッションがなされました。
今日までの2日間を振り返って弊職の見立てですが、
1. AIやIoTを使った事例が結構出てきており、いよいよDynamics365が面白くなってきた。ERP機能側よりもCRM側のほうが勢いがあり、マーケットの広がりが大きいと思われる。ERPとCRMの連携にまだまだ問題が潜んでいることを知っている人が少ないようだ。
2. PowerSuite (Power BI, PowerApps, Microsoft Flow)がグローバルで広がりを見せてきており、ユーザー側が自分たちで学ぼうという姿勢が圧倒的にアジアより顕著に表れている。その学び方も日本のように家庭教師をつける感じではなく、塾に通ったり、図書館で自力で学ぶイメージである。(日本人は取り組み姿勢を変えないとグローバルでは戦えない)
3. 欧州はD365FO(AX)のホームタウンなのでユーザーも多く、ユーザー自体が新しいマイクロソフト製品/サービスの可能性を楽しんでいる。コンサルタントのレベルも高く、自分自身も他のMVPのセッションを楽しむことができている。(日本ではありえない)日本よりもDynamics製品と合わせたAzureの活用をしているパートナーが多く、製品間連携について学べることが多かった。
4.日本という語学のできない方の多い市場(アジアパシフィックでは、中国・韓国・台湾・タイ・ベトナム・インドネシアも同様)を考えると、これらの国では、もっと現地語の資料を充実させて、学べる環境を準備することが不可避な状況といえる。Dynamics戦士の養成が急務である。SAPの2025年問題へどのように日本マイクロソフトが取り組むのか?どのパートナーも見ていると思う。
5. セッションや事例に”デジタルトランスフォーメーション”という言葉がよく出ているが、いろいろな人に質問すると、それぞれで定義が異なり、どのような結果を想定しているのか非常に曖昧。”マイクロソフトが考えるデジトラ”とは何か?これをもっとクリアに定義して、それぞれのマーケットにしっかりと訴求したほうがいいように感じた。
—以下番外編—
Medicsとは、AX/CRMのMVPがドクターにふんしてお悩み解決を行う場所です。
MVPセッション>いやぁ、レベル高い。素敵すぎる♪
展示会場>
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来年度の開催希望地に関して、自分はニースで投稿しましたが、たまにはLondonもいーなーと思っています。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。以上で今回のDynamicsな活動は終了です。今宵は、ここらで、よかろうかいw