ERP導入により、業務量倍増対応と内部統制の大幅改善を実現
旭化成株式会社 繊維事業本部 様
旭化成株式会社 繊維事業本部 様
旭化成株式会社 繊維事業部のイタリア現地法人であるAsahi Kasei Fibers Italia s.r.l は、イタリアの会計パッケージと倉庫会社のシステムを利用しながら、手作業によるデータ集計を行ってきました。 しかし、欧州拠点の合併に伴い業務量が増えることから、旭化成グループ内で実績があるMicrosoft Dynamics NAV※を導入しました。 4ヶ月という短期間導入と適切な開発フェーズにより、増加した業務量への対応、さらに内部統制の向上を実現しました。
※Microsoft Dynamics NAVは、Microsoft Dynamics 365 Business Centralの旧製品名称です。
旭化成グループの主要事業の一つである繊維事業においてその中心的なポジションを担う旭化成 繊維事業うは、日本・アジア・ヨーロッパにおいてグローバルな事業展開を行っています。90年に及ぶ原糸、原綿、生地作りといった経験で培った、独自技術、差別性のあるユニークな繊維素材をグローバルに提供している会社です。 グローバルに展開する弾性繊維スパンデックス「ロイカ」、世界唯一のキュプラ繊維「ベンベルグ」、 多様な原料をベースに展開する「旭化成スパンボンド」などの不織布群、車両資材がメインのナイロン66「レオナ」の4つの事業をベースに、未来を拓く新たな技術、商材の開発にも力を注いでいます。
イタリア現地法人であるAsahi Kasei Fibers Italia s.r.l.と、ドイツ現地法人との合併を10ヶ月後に控えていた同社は、業務システムの見直しが急務でした。
システム導入プロジェクトのリーダーを務めた、旭化成せんい株式会社 物流・情報システム室室長 深沢 修氏は
「2014年10月の合併まで、とにかく時間がない状況でした。また、当時のイタリア法人では現地のパッケージシステムを導入しては いたものの、売上・請求・入金を管理する程度で、多くの部分が手作業によって賄われていました。 合併に伴う業務量の増加と、手作業による内部統制面での課題という2つの側面から、業務システム の見直しが迫られていました。」と当時を振り返ります。
システムの選定においては、旭化成グループ内で導入実績のある3製品を比較しました。その中から、短期間導入が可能で、且つ低コストである点、また、旭化成グループ内で多くの導入実績があり、高い成果を上げている点が評価され、Microsoft Dynamics NAVが選ばれました。さらに、旭化成グループにおいてDynamics NAVの導入を手がけてきたPBCが、本プロジェクトにおいてもグローバルベンダーとして採用されました。
「システムやベンダーの選定はスムーズに進みました。何よりもグループ内で豊富な導入実績があることと、スピード感・規模感がフィットする製品、ベンダーとして、旭化成グループ内での合意もスムーズでした。」(深沢氏)
次に着手したのがローカルベンダーの選定です。イタリアの現地ベンダーを選定するにあたり、PBCが推薦した3社を実際に訪問し、詳細な比較を行い決定しました。
「プロジェクトのキックオフを行ったのが4月中旬。イタリアでは8月に1ヶ月間の夏休みがあり、その期間は現地での作業や打ち合わせは行えません。実質的に約4ヶ月という短期間でシステムを稼働させる必要がありました。」旭化成せんい株式会社企画管理部 経営管理室 室長 石川 英治氏。
限られた時間の中でスタートしたプロジェクトですが、特に苦労したのはマスタや分析コードの設計でした。
「今回のシステム導入には『見える化』という狙いもありました。具体的には、素材別での損益計算書にJet Reportsを使用し、自動で出力させるということです。このためにどのような分析コード体系を設計すべきかについて、PBCさんと何度も協議を繰り返しました。また、正しい数字を集計するためには、現地のユーザーに正しく情報を入力してもらう必要があります。そのためのオペレーションを徹底してもらうことも苦労した点の一つです。そのため、必要に応じて現地に赴き、システムの導入をサポートしました。」旭化成せんい株式会社 経営管理室 ベンベルググループ 加藤 拓也氏
2014年10月に本稼働を迎えたものの、合併に伴う業務量増加に対応するため、2014年11月よりすぐに2次開発に着手しました。 2次開発の主な目的は、本社連結パッケージであるDIVAとのデータ連携、委託販売手数料の自動計算や支払条件毎の与信管理表の自動作成、個々の業務内容に最適化されたメニュー画面の設計など、Dynamics NAVのレポーティングツールとして開発されたBIソリューション、Jet Reportsを利用し、日々の業務を自動化することでした。 結果として、合併に伴い倍増した業務量に対し、既存のスタッフのみで対応できるしくみを構築することができました。「これまで手作業で行っていた業務のほどんどをシステム化したことにより、合併に伴う業務量の増加を、これまでと同じ人員で乗り切ることができています。また、業務が標準化されたことによる内部統制レベルの向上も、非常に大きなポイントです。おかげさまで親会社の内部監査組織からもお褒めの言葉をいただくことができました。」(石川氏)
エンドユーザーであるイタリア現地法人と、それをサポートする日本本社メンバー、PBCコンサルタント、そしてイタリアの現地ベンダーの4社が連携することで、短期間での本番稼動、またそれに続く2次開発まで、遅延なく終えることができました。
「まずは最低限の機能で本番稼動させ、ユーザーが製品に慣れた状態で2次開発を手がけたことが良かったと思います。」(深沢氏)
「タイトなスケジュールでしたが、強いチームワークと、各々が強い責任感を持って臨んだことで、無事にやり遂げることができました。ステップ毎に状況をチームで共有することで、プロジェクトの進捗 と現状を常に把握し、理解しながら進めることができました。」旭化成せんい株式会社 企画管理部 経営管理室 ベンベルググループ グループ長 長尾 博彦氏
「イタリアの外注先の会計事務所含め、ローカルスタッフが、時間外業務を厭わず、かなり頑張ってくれました。またPBCさんには、UATやトレーニングと同時進行でFine Tuneに対応するなど、効率的にサポートしていただきました。」(加藤氏)
わずか4か月間でのスピード導入にも関わらず、業務の大幅な効率化と内部統制の向上を実現した同社は、今後の展望として、Office365連携とデータの有効活用というテーマを掲げています。 「グループ全体の経営管理を行うためのグローバルDBへの分析用データ受渡しや、グループ内取引の自動化など、Dynamics NAVが持っている経営データを活かすことで自動化できる処理や、見えてくる情報はまだまだ多くあります。PBCさんのサポートを受けながら、これらを実現していきたいと考えています。」(深沢氏)
※記載の内容は取材時点(2015年6月)のものです。
企業名 | 旭化成株式会社 繊維事業本部 |
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創立 | 1931年5月21日 |
資本金 | 103,389百万円 |
所在地 | 〒530-8205 大阪市北区中之島三丁目3番23号 |
URL | http://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/ |
事業内容 | ポリウレタン繊維「ロイカ®」、不織布(スパンボンド「エルタス®」、人工皮革「ラムース®」、キュプラ不織布「ベンリーゼ®」など)、キュプラ繊維「ベンベルグ®」、ナイロン66繊維「レオナ®」 の製造・販売 |
ソリューション | Microsoft Dynamics NAV 2013 R2 (現Microsoft Dynamics 365 Business Central) |
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導入モジュール | 財務管理/固定資産/ 販売&売掛金管理/仕入&買掛金管理/在庫管理/イタリア商習慣対応アドオンソリューション/Jet Reports |
導入拠点 | イタリア(ミラノ) |
導入言語 | 英語/イタリア語 |
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